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「産婦人科専門医」が「乳房疾患認定医」の資格をとったワケ

産婦人科をやっていると時々見聞きする、患者さまの乳房に関する困りごとがあります。

ひとつは、「出産後初めての授乳の時から、断乳するまでいつも、おっぱいのトラブルは産婦人科で診てもらっていたので、授乳が終わった後、乳房のしこりが気になったので、産婦人科を受診したら、乳房は婦人科ではみないから、外科に行ってください。といわれてとまどった。」というものです。
今まで散々おっぱいを診てもらっていたはずなのに、おっぱいは産婦人科では診られません。と言われて、びっくりというわけです。

もうひとつは「急に高熱が出て、おっぱいがパンパンに張って、赤く固くなってしまいました。助産師さんにみてもらって、マッサージはしてもらったものの薬が必要だからと医療機関に行くように言われましたが、近くの産婦人科に電話したら、お産したところで相談してくださいね。と言われて、産んだ総合病院に電話したら、予約制だから1週間先になるといわれ、とても辛くて困った。。。」などと、いうお話です。

出産を取り扱っている施設では、たいてい、授乳相談もしていますが、おっぱいケアの担当は、たいていは助産師さんです。助産師さんがみて必要に応じドクターが診察をして、必要ならばお薬を出すといったケースが多いようです。
授乳指導は、結構な時間をかけて乳房や乳首を触ったりするこということになりますから、男の先生は積極的には介入しにくいところもあり、助産師さんにかなりの部分を任せることになるのです。
また、乳腺外科(外科)では、乳がんやその疑いがあるしこりなどを診断治療するのが主です。ですから、授乳中です、乳腺炎ですと言われれば、「まず、産科でみてもらってくださいね」ということに、なります。

診療を必要とする人が、すぐに適切な医療にアクセスできないという状況になってしまうことがあるというのは、医療者サイドの者としては、反省しなければいけないところかもしれません。

総合病院までいかなくても町のレディースクリニックで乳房のトラブルをしっかりみることができると、乳腺炎ばかりでなく、乳房のしこりや、痛みなど乳房の心配事を気軽に相談できるのではないかと思います。
また、産科では出産後、授乳の時に必ずおっぱいをみますから、その延長線上でおっぱいのトラブルの時は婦人科へという流れができると、おっぱいのことで悩みがあるとき敷居が低く受診できてよいのかなと思います。


そんな訳で、日本産科婦人科学会でも、女性のヘルスケアの一貫で乳腺疾患をしっかりみていきましょう。という流れが最近強くなっているのです。

気軽に受診できるクリニック(自称)だし、女医だし、愛クリニックではお産はいま取り扱ってないので、どこで出産した方にも来ていただけますし(お産をとっていると、緊急のお産が優先になってしまうので、時間のかかる授乳指導は制限するのは仕方がないのです。念のため)。。。ということで、「私って、もしかして乳腺疾患の診察医として最適?」と勝手に判断してちょっと頑張って勉強しました。(学会や研究会への参加、読影医としてのスキル、認定医試験合格などが認定の条件です。)
そして、先日今のところ全国で200人くらいの日本産婦人科乳腺医学会乳房疾患認定医の資格をいただきました!(ちなみに日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医は、約13,000人です。)

日本人女性の11人に1人が、乳がんに罹患するといわれている時代です。
今回の資格取得をきっかけに、もっともっと勉強して、妊娠中の乳房の心配ごと、授乳中の乳房トラブル、若い人の乳房のしこり、ご年配の方の乳がんの検診など、乳房に関する相談事も、今までよりもさらにしっかり診療していきたいと思っています。(乳がんの疑いがある場合や、手術のような、侵襲を伴う治療が必要な場合は、乳腺外科に紹介します。)

すべての女性がいつも、そしてずっと元気で過ごせますように!

参考
「日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医」:日本産科婦人科学会が認定している産婦人科の専門資格です。
「日本産婦人科乳腺医学会乳房疾患認定医」:日本産婦人科乳腺医学会(旧名称:日本産婦人科乳癌学会)が日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医の中から認定している資格です。

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